忍者ブログ

胃・小腸・大腸の働きと病気

胃・小腸・大腸はどのような働きをしているのか?胃・小腸・大腸にはどのような病気があるのか?について詳しく説明します

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

胃がんの特徴

胃がんは、日本人に多くみられるがんで、部位別に見るとがん全体で胃がんの患者数は最も多く、死亡者数は肺がんに次いで2番目となっています。

●部位別がんの罹患数
1位2位3位4位5位
男性胃がん肺がん大腸がん前立腺がん肝臓がん
女性乳がん大腸がん胃がん肺がん子宮がん
全体胃がん大腸がん肺がん乳がん前立腺がん
●部位別がんの死亡者数
1位2位3位4位5位
男性肺がん胃がん大腸がん肝臓がん膵臓がん
女性大腸がん肺がん胃がん膵臓がん乳がん
男女計肺がん胃がん大腸がん肝臓がん膵臓がん


ただし、発見される胃がんの半数以上は早期がんであり、早期発見できれば90%以上は完治できるようになってきているため、死亡率は低下してきています。
がん患者の5年後の生存率を比較してみても、胃がんは他のがんに比べて生存率がよいことがわかります。
がんの5年相対生存率
これらの理由として、人間ドッグの胃内視鏡検査やがん検診のバリウム検査が普及してきたこと、診断や医療技術が向上してきたことが大きく貢献しています。
いずれにしても早期発見が大切であることは変わりありませんので、定期的な胃がん検診のを受けるようにしましょう。

PR

胃腸は自律神経によって支配されている

胃腸の自律神経支配 自律神経は自分の意志とは無関係に自動的に働いてくれる神経です。
血液の流れる量や体温、心臓の鼓動のリズムなどは私たちの意志ではコントロールできません。
このような生命の維持に必要不可欠な調節をしてくれているのが自律神経なのです。
胃腸は独自に働くこともできますが、脳からの自律神経によって強くコントロールされています。
このため、過度のストレスで脳のコントロールが混乱し、自律神経の働きがおかしくなると、胃腸にもその影響が表れます。
胃の筋肉が緊張し、胃の毛細血管が極端に細くなって血流が悪くなるため、胃を守る粘液の分泌量が激減します。
防御の弱くなった胃壁は、胃液による攻撃によって消化されてゆき、胃潰瘍になるのです。

緊張時に食欲がわかない理由

自律神経には、交感神経と、副交感神経があります。
交感神経は緊張時に働きし、副交感神経はリラックスしているときに働き、お互いに相反する働きをすることでバランスをとって体の機能を調節しています。
胃腸の働きは副交感神経が優位になることで活発に活動します。
つまり、リラックス状態のときに消化吸収活動が行われます。
緊張しているときには、食欲がわかなかったり、食べてもなかなか喉を通らない、という経験をされた方のおられるのではないでしょうか?
緊張時は交感神経が優位に働いているため、胃腸をはじめとする消化活動に関わる消化器官の働きが鈍いことが、その原因の1つだといえます。

胃酸過多症が胸焼け、げっぷ、呑酸をもたらす

胃酸過多症 胸焼けやげっぷ、すっぱいものが口にこみ上げる呑酸といった症状がある方は胃酸過多症の可能性大です。
胃酸過多症は、胃酸が過剰に分泌される症状です。

胃酸は本来、食べ物を食べたときに脳からの指令を受けて分泌されて消化活動を行い、逆に空腹時には分泌量が低下するのが正常な状態です。
しかし、胃酸過多症では食後の3~4時間後の空腹時でも胃酸の分泌が治まらず、胃酸濃度が非常に高い異常な状態が続きます。
その過剰に分泌された胃酸が胃から食道に逆流すると、胸焼けやげっぷ、呑酸といった症状をもたらすのです。
また、食道に胃酸の逆流が繰り返し続くと、食道が炎症を起こす、いわゆる逆流性食道炎を引き起こしたり、さらに長い年月食道が胃酸に攻撃され続けると、食道の細胞ががん化して食道がんにまで発展するケースもあります。

胃酸過多症の起こる原因

胃酸過多症が起こる原因には以下のようのことが考えられます。
・胃酸の分泌・抑制を司る自律神経の乱れ
胃の働きは主に自律神経によって支配されています。
食べ物が口に入ったり、おいしそうな物を見たり、臭いをかいだりした刺激が脳に伝わり、自律神経のうちの副交感神経から胃に伝達されて、胃酸の分泌が促進されます。
逆に自律神経のうちの交感神経が作動することで胃酸の分泌が抑制されます。
この胃液分泌の促進と抑制を行う自律神経のバランスが乱れることで、胃酸過多症を引き起こされると考えられます。

・ホルモンの異常
胃に食べ物が入ってきて胃壁が伸びることによる刺激や蛋白質、ペプトン、アミノ酸などの科学的刺激でガストリンというホルモンが分泌されます。
ガストリンが壁細胞のガストリン受容体に結合すると、壁細胞から胃酸が分泌されます。
そして、胃内がpH2以下の強酸性になると、自動的にガストリンの分泌が減少し、胃酸の分泌も減少します。
また、胃から十二指腸に消化物が移動する物理的刺激や十二指腸に酸性物質や脂質、糖質がたどり着くことによる化学的刺激でセクレチン胃抑制ペプチド(GIP)などのホルモンが分泌され、ガストリンや胃液の分泌を抑制します。
これら胃酸の分泌を促進、抑制するホルモンの異常が胃酸過多症を引き起こします。

・胃酸を分泌する細胞が多い
胃酸は壁細胞という細胞が分泌していますが、この壁細胞の数が多いと、分泌される胃酸の量も増加します。

・胃酸の分泌を促進させる刺激物の過剰摂取
アルコールやコーヒー、コショウ、カラシなどの刺激物は胃液の分泌を促進させます。

胃酸過多症の治療

胃酸過多症は胃酸が過剰に分泌される症状ですので、過剰な酸を中和したり、胃酸そのものの分泌量を抑える薬物治療が行われます。
過剰な酸を中和するためには、制酸剤が使用します。
強い酸性の状態の胃酸をアルカリ性の薬品で中性の状態にして、胃酸による攻撃を防ぎます。
症状を抑える即効性はあり、胸焼けもスーッとひきますが、胃酸が過剰に分泌される胃酸過多症の根本的原因を改善する訳ではありませんので、薬の効果が切れるとまた再発します。

胃酸そのものの分泌量を抑えるためには、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)プロトンポンプ阻害薬(PPI)という医薬品が使用されます。
塩酸を分泌する壁細胞に働きかけて、胃酸分泌される前の段階で止めてしまいますので、継続して服用することで症状は改善します。
ただし、服用を止めると数週間後に再発するケースが多く見られます。
やはり、これらの医薬品も一時的な改善だけで、胃酸過多の根本的な原因が解消される訳ではないのです。

胃酸過多症が起こる原因は前述のようなことが考えられますが、なぜそのようなことが起こるのかというメカニズムについては解明されてない点が多く、胃酸過多症の根本を治す治療法は確立されていません。
ただし、食生活など生活習慣が深く関わっていることには間違いありませんので、医薬品で症状を抑えつつ、胃酸過多症を起こしうる生活習慣の改善の取り組みましょう。

H2ブロッカーってどんな胃腸薬?

H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)は胃潰瘍や胸焼けなどの症状がある場合に非常によく処方されるお薬です。
かつては、胃潰瘍の治療は潰瘍部分を切り取る外科手術が主流でしたが、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)が開発されたおかげで、手術することもなく薬物治療のみで治療できるケースが多くなりました。
そして、医療用での実績が評価されて1997年には市販薬としても販売が許可されるようになり、店頭でもH2ブロッカー配合薬が購入できるようになりました。

H2ブロッカーはどのようにして胃酸分泌を止めるのか?

胃酸は胃粘膜の防御が弱っている部分を消化して胃壁に潰瘍を起こしたり、粘膜組織のない食道に逆流して食道を消化して胸焼け・逆流性食道炎を起こしたりする主な原因となります。
H2ブロッカーはこの胃酸の分泌量を抑えることで胃潰瘍や胸焼け・逆流性食道炎を改善するお薬なのです。
ではどのようにして胃酸の分泌を抑えているのでしょうか?

胃酸は、胃腺にある塩酸を分泌する壁細胞という細胞によって作られます。
胃酸を分泌する壁細胞
壁細胞にはプロトンポンプという酸を分泌するところがあって、プロトンポンプはアセチルコリン、ヒスタミン、ガストリンという物質の刺激によって作動します。
壁細胞には各物質を受け入れる受容体があり、それぞれの物質がこの受容体に結合することでプロトンポンプが作動するのです。
H2ブロッカー

H2ブロッカーという名前の理由

このうちヒスタミンはアレルギー反応などでよく耳にするヒスタミンですが、受容体の種類によって結合したときの作用が異なり、壁細胞のヒスタミン受容体は2型の受容体です。
H2ブロッカーのHはヒスタミン(Histamine)の頭文字のHであって、2番目に発見された種類のヒスタミンということでH2なのです。
このH2の受容体にヒスタミン結合するのをブロックする薬なので、H2ブロッカーと名付けられています。
アセチルコリン、ヒスタミン、ガストリンのうち、ヒスタミンが最も酸分泌作用が強いため、この受容体の結合を防ぐことで、胃酸の分泌を抑えることができるのです。

H2ブロッカーの種類

H2ブロッカーには次のような種類があります。
下記以外にも特許切れの医薬品を別会社が同じ有効成分で作ったジェネリック医薬品(後発医薬品)も多数発売されています。
一般名称主な商品名
シメチジンタガメット(大日本住友製薬)
塩酸ラニチジンザンタック(グラクソ・スミスクライン)
アバロンZ(大正製薬)
ファモチジンガスター、ガスター10(第一三共ヘルスケア)
ニザチジンアシノン(ゼリア新薬工業)
塩酸ロキサチジンアセタートアルタット(アスカ製薬)
ラフチジンプロテカジン(大鵬薬品工業)
ストガー(ユーシービージャパン)

胃潰瘍の治療は薬物療法が中心

薬物療法
胃潰瘍の治療は、嘔吐などひどい症状がある場合や胃潰瘍が胃壁を貫通している穿孔性潰瘍など重症の場合は手術を行うこともありますが、通常は胃潰瘍の症状を緩和する薬の服用による治療が中心となります。

胃潰瘍の薬ってどんな薬?

服用する薬は主に2種類のタイプがあります。
1つ目は胃潰瘍を起こしている部分を攻撃する胃酸の分泌を抑える薬です。
胃酸は食べたものを消化したり、口から侵入してきた細菌などを殺菌したりと重要な役割をしています。
ところが、何らかの原因で胃粘膜の防御が低下している場合には胃酸が胃壁を消化してしまい潰瘍を起こすのです。
ですから、胃潰瘍の主な原因である胃酸の分泌を抑える薬を継続して服用して、胃潰瘍を起こしている部分が徐々に治癒していくのを待つ訳です。

胃酸の分泌を抑える薬としては、主にH2ブロッカー(H2受容体拮抗薬)という薬が使用されています。
ガスター10やタガメット、ザンタックなどがこれに該当します。
H2ブロッカーは比較的副作用の少ない医薬品ですが、長期連用すると胃酸の分泌が抑えられることによる副作用が考えられるので、胃潰瘍の治療は個人的にせずに医師の指示の元に行うようにしましょう。
また、H2ブロッカーでは胃潰瘍改善効果が現れない場合は、より胃酸分泌抑制作用の強いプロトンポンプ阻害薬(PPI)が使用されています。

2つ目は胃潰瘍を起こしている部分を保護するための薬です。
胃酸による攻撃から胃壁を防御するために胃粘膜保護薬を服用します。
働きが穏やかで即効性はありませんが、副作用が少なく、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬を服用できない方や高齢者などに使用されます。

薬で胃潰瘍の原因が治る訳ではない

このように、胃壁に対する攻撃を弱める薬と胃壁の防御を強める薬を使い分けて胃潰瘍を治療します。
ただし、胃潰瘍の薬物療法はあくまでも胃潰瘍の症状を一時的によくするものであって、胃潰瘍がおこる原因そのものを取り除く訳ではありません。
薬物療法で胃潰瘍がいったん治っても再発するケースがよくあります。
ですから、胃潰瘍の薬物療法は胃潰瘍の原因を治すのではないこと、そして胃潰瘍を再発させないためには胃潰瘍の原因となっている生活環境などを改善しなければならないことを理解しておきましょう。

プロフィール

会社名:
増田製薬株式会社
住所:奈良県橿原市川西町429

バーコード

ブログ内検索

Copyright ©  -- 胃・小腸・大腸の働きと病気 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]