胃は筋肉と粘膜でできた袋状の臓器で、口から食べて食道を通ってきた食べ物を胃液によって消化する働きをしています。
胃の中に何も入っていないときには容積が50mlほどに縮んでいるのですが、胃に食べ物が入ってくるとひだを伸ばして、満腹時には1200~1500mlと約25~30倍にも膨らむことができます。
胃は噴門(ふんもん)、胃底、胃体、幽門(ゆうもん)の分けられています。
噴門…食道と胃の境目で、食べ物が通過するときだけ開いて、普段は筋肉の働きでぎゅっと締め付けて胃液や食べ物の逆流を防いでいます。
胃底部…胃の上部の膨らんだ部分です。食べ物と一緒に飲み込んだ空気や炭酸飲料などに含まれるガスはこの部分に溜まって口に逆戻りします。これがいわゆる「げっぷ」です。
胃体部…胃の大部分を占めており、ここで胃に入ってきた食べ物と胃液を混ぜ合わせてドロドロのお粥状にします。
幽門…胃と十二指腸の境目で、お粥状にされた消化物を十二指腸に送り込むときに、幽門の括約筋が開きます。
幽門で消化物が胃から十二指腸に送られる量を調節しているのです。
胃壁は6層構造
胃壁は6つの層からできています。
お腹の臓器の表面を覆っている膜を腹膜といい、腹膜の一部である漿膜(しょうまく)が一番外側にあります。
漿膜の次に漿膜下層があり、その内側に胃の筋肉である筋層があります。
筋層は縦走筋、輪状筋、斜走筋の3層でできており、それぞれの筋肉が縦・横・斜めに伸び縮みすることで胃に入ってきた食べ物を胃液と混ぜ合わす役目をしています。
筋層の内側には、たくさんの神経と血管が存在する粘膜下層があります。
粘膜下層の内側には粘膜筋板があります。
粘膜筋板は筋層の筋肉の働きとは異なり、胃の内面をひだ状にし、胃粘膜を動かすための筋肉です。
一番内側は胃粘膜であり、表面は粘液で覆われており、胃壁が胃酸で傷つけられるのを防いでいます。