胃潰瘍は多くのストレスにさらされる現代社会を象徴するような病気です。
かつては男性に多く見られた病気ですが、現代では女性や若者にも胃潰瘍の発症が増加しており、職場のみならず、私たちを取り巻く高度情報化社会が家庭や学校、日常生活においても多くのストレスをもたらしているといえるでしょう。
胃潰瘍は攻撃と防御のバランスの乱れ
胃は食べた物を消化するために胃液を分泌しています。
胃液には、強い酸度の塩酸や蛋白質を分解するペプシンが含まれているのです。
これらが胃壁に対する攻撃因子です。
では胃はなぜ塩酸やペプシンによって消化されないのでしょうか?
実は、胃は塩酸から胃を守るためにアルカリ性の粘液を分泌して中和したり、粘膜表面の脂質が塩酸をはじくことで、胃壁を守っているのです。
これらが胃壁の防御因子です。
通常、これらの攻撃因子と防御因子は、自律神経やホルモンなどによって調整されているのですが、このバランスが崩れて攻撃因子の力が防御因子より強くなると、塩酸やペプシンが胃壁を消化して傷ができてしまいます。
この傷が胃潰瘍であり、消化されてできることから
消化性潰瘍と呼ばれています。
胃潰瘍の進行度
胃潰瘍の進行度は胃壁をえぐる潰瘍の深さです。
①胃粘膜の一部の細胞がただれ、壊死している浅い潰瘍で、通常
びらんと呼ばれます。
②粘膜のみの潰瘍です。
③粘膜下層まで及んでいる初期段階の潰瘍ですが、粘膜筋板を破った潰瘍は治癒しても瘢痕が残ります。
④筋層に達する潰瘍で、胃潰瘍で最も多い状態です。
⑤潰瘍が筋層を貫いて漿膜下層まで達しており、胃壁に孔(あな)があく一歩手前の危険な状態です。
⑥漿膜を破って胃壁に孔(あな)が開いた状態で穿孔(せんこう)といいます。
胃の内容物が腹部の空間に漏れだし、急性腹膜炎を起こす危険があります。
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